人は、大抵、自分には甘いものです。
また、物事の尺度は自分自身で測るものです。
これは仕事の達成感においても同様で、自分が完璧に仕上げたと思っていても、他人から見たら大したことのない出来栄えであることもよくあることです。
誰が見ても完璧なものに仕上げるには、客観的に見ることが大切です。
しかし、多くの新人は客観的に自分の仕事を見ることができません。
「とりあえず仕上げて、それを見てもらって、あわよくばOKをもらえたらラッキー」という程度にしか考えていないものです。
こういう態度で仕事を提出してくる新人に対し、容易に「OK」を口にしてはいけません。
ダメな場合には、はっきりとダメだと伝え、どうすればよいのかも伝えます。
そして、必ず本人に直させるようにしましょう。
決して、代わりにあなたが修正してはいけません。
「ちょっと直すだけなら、やってくれればいいのに」と考える新人もいるでしょう。
もしかしたら、ファイルをメールで送りつけて、「間違っていたら訂正しておいてください」と書いてくる人もいるかもしれません。
しかし、そういったことに取り合ってはいけません。
「君が直しなさい」とはっきりと伝えましょう。
その際、「君が担当で、君の仕事なのだから、最後まで自分でやるように」と、なぜ自分で修正しなければいけないのかも説明しましょう。
さて、それではどのような行為に対して注意をしたらいいでしょうか。
その答えは、「いい加減だと思えるものは全て」です。
例えば以下のような行為があります。
挨拶をしない新人は沢山います。
時にはベテランであってもしない人はいます。
新人のうちに挨拶の癖をつけておかないと、そのまま挨拶のできない中堅になってしまいます。
そうならないように、挨拶をできない新人を見かけたら、あなたから挨拶をした後に、「挨拶くらいはしようよ」と声掛けしましょう。
もしかしたら、ベテランで挨拶をしない人のことを例に挙げて、「あの人だって挨拶していませんよ」と言ってくるかもしれません。
しかし、だから挨拶をしなくていいということにはなりません。
そうではなく、「ああいう人にならないように、社会的な常識を身につけるようにしよう」と伝えましょう。
仕事場に、だらしない格好、相応しくない格好で来る人がいた場合は、逐一注意しましょう。
会社には就業規則等があり、服装についての指定がないこともありますが、だからといってあまりにも汚らしい格好であったり、ラフすぎる格好であれば、それは正すべきでしょう。
注意せずに見過ごしてしまうと、それは認めたことになります。
一度でもだらしない格好を認めてしまうと、他の人も真似をしだして悪影響を与えることになるか、他の人から「あの人は何も注意できない人だ」と甘くみられることになります。
対人関係があまり得意でない人の場合には、連絡をすべき時に連絡をしなかったり、報告すべき時に報告をしなかったりすることがあります。
また、目の前にいるのにメールで連絡してきたり、休みたいときに直接話すのは気が引けるのか、電話ではなくメールで済ませてしまうような人もいます。
このような行為は、その人の状況が伝わらないので、こちらから逐一「どうなっている」と聞かなければならず、大変面倒です。
ですから、「どうなっている」と聞くときに、「節目節目で報告をするように」と注意しましょう。
また、仕事を休むときにメールで連絡してきたら、その場で電話をさせるなどして、「必ず電話連絡するように」と徹底するようにしましょう。
メールでの連絡は、届かない場合や気づかない場合があるので、確実に相手に伝わっているのかわかりません。
そのため、「最悪の場合は無断欠勤になるよ」と教えてあげましょう。
社会人として、就業開始時刻に間に合わないというのは、やる気云々の問題以前に、未だ学生気分が抜けていない証拠です。
朝起きられない、というのは言い訳にすぎません。
仕事に責任感を持っているのであれば、何としてでも起きようとあらゆる努力をすべきです。
新人なのに遅刻の多い人がいたら、遅刻しないように注意するとともに、なぜ遅刻がいけないことなのか(いまさら説明するのはバカバカしいかもしれませんが)、分かるように説明しましょう。
遅刻はそう簡単に直るものではありません。
遅刻をする人には根気強く注意し続けましょう。
達成した仕事の完成度が低く、使い物にならない時には、仕方がないと諦めて、あなたが使えるものに仕上げるのではなく、必ず差し戻して「ここをこういう風に直すとよい」とか、「このような考え方でやってもらいたい」と伝えましょう。
そして、なぜこちらで処理せずに、差し戻すのかも責任の所在を明確にして、「あなたがやることで、責任感を持って仕事に臨んでほしいから」と伝えましょう。
一度注意しても、改善されず完成度の低いものを提出してくるのであれば、何度も注意を繰り返すことで、責任感や自分で考える力、こちらの考えを汲み取る力などが培われるでしょう。
自分の仕事が終わったら、他の人の仕事が残っていようとお構いなく帰ってしまったり、挨拶もせずにひっそりと返ってしまったりする人がいます。
こういう人には、「まだ他に残っている人がいたら、君は新人なのだから『お手伝いすることはありませんか』と一言聞こう。
それで『帰ってもいい』と言われたら帰るようにしよう」と教えてあげましょう。
本来ならば常識的なことだから、言うまでもないと思うかもしれませんが、それができていないという時点で、常識がないということです。
こういう人は言われなければいつまでも気が付きません。
ですから、きちんと教えてあげなければなりません。
何も言わずに「あいつは勝手に帰る」と悪口を言うだけでは、その新人は成長しないし、あなたは陰口を言うだけの人になってしまいます。
何も改善されないのでストレスを溜めるだけになってしまいます。
ストレスを溜めずに快適に仕事をこなすためにも、新人を教育しましょう。