人を教育するときの理想的な教育方法とは、その人本人が自分で考え、自分で気づいて、効率的に仕事ができるように改善していけるような考え方を教えることです。
しかし、中小企業に集まるような社員は、大企業に集まる社員と違い、エリート中のエリートというわけではないので、教わる側も教える側も、そこまでできる人は限られているか全くいないかのどちらかでしょう。
そもそも社員募集をしたところで、上位10位に入るような高い能力の持ち主は、大企業にとられてしまうので、中小企業は残った人の中から人選しなければなりません。
その中には、教えれば教えただけ吸収して、みるみる力をつけるような人もいるでしょうが、大半は教えても使い物にならないか、そこそこ力をつける程度の人ばかりだと思ってください。
そのくせ、彼らはやりたくないことを主張するのは一人前です(やりたくないと主張する時点で半人前といえるかもしれませんが)。
こちらが何か指示したり注意しても、反論ばかりして仕事をしようとしないのです。
もちろん反論のすべてが悪いわけではありません。
反論にはいい反論と悪い反論があります。
良い反論の場合には、あなたがその反論を認めるか否かを検討し、納得できる言い分であれば、その反論を認めてあげましょう。
いい反論の場合、与えられた仕事や教えられた方法について、「それはこういう理由でよくないと思う」と反論とその理由について述べています。
しかし、それだけでは終わらず、「このようにしてみたらどうだろうか」という提案がついています。
そして、その提案を実行するのは、もちろん自分であることも本人が理解しています。
悪い反論は、ただやりたくないだけなので、やらなくて済む理由を探しているだけになっています。
ですからその反論からは何も生まれません。
停滞もしくは後退しかないのです。
また、「このようにした方がいいと思う」と提案しても、それを実行するのは自分ではないと思っている場合も悪い反論です。
つまり、悪い反論とは、仕事をする意欲がなかったり、責任感がないことの表れとして行われる反論のことを指します。
悪い反論をするような人は、自分が興味のある仕事しかしよとしなかったり、まったく別のことを勝手にしたり、さぼってばかりいたりすることが多く、会社にとっては問題社員であることが殆どです。
こういう人たちには、どんなにその仕事が有意義なものであるのか、会社に利益をもたらすものであるのか、ということを説明しても伝わりません。
彼らは、会社の業績がよかろうと悪かろうと、毎月の給与は同じだと思っているので、それならばできるだけ仕事をしないで過ごしたいと思っているのです。
あなたが、このような悪い反論を一切認めてはいけません。
どのような理由をつけてこようとも突っぱねて、やらせましょう。
以下に、悪い反論への対処法について考えます。
まずは理由を説明しましょう。
悪い反論をしてきたからといって、その人が頭ごなしにダメと決めつけるのではなく、きちんと説明すればわかってくれるかもしれないので、丁寧に説明をします。
なぜその仕事が必要なのか、なぜあなたにやってもらいたいのか、納得させることができれば、少しはましな働きを見せるかもしれません。
やる気のない人は、できるだけ楽をしよう、仕事をさぼろうとします。
しかし、それでも最低限これだけはやっておこうという考えを持っている場合があります。
自分の決めた最低限のラインを守ることで、会社にきて仕事をしていると胸を張れると信じているからです。
これは、対外的にではなく、自分の中で「自分が会社にいる意味はこれなのだ」と肯定していたいからなのです。
プライドといってもいいかもしれません。
彼らの「悪い反論」を正して仕事をさせようと思うのであれば、この「最低限これだけはやっているから、私は仕事をしていると言えるのだ」という最低限のラインに組み込んでしまうことを考えましょう。
最低限の仕事とは、主にルーチンワークにあたります。
ルーチンワークに組み込めるようなものではなく、単発の仕事であれば、彼らのプライドをくすぐり、最低限の仕事の枠内に、ルーチンワーク枠のほか、突発的な仕事をこなす枠をつくらせて、その範囲内で納得して仕事をするように仕向けましょう。
それでも反論をひっこめないのであれば、理不尽なまでに問答無用の態度で接しましょう。
残念ながら、悪い反論をしてくる人たちは、仕事の進め方も、成果物のできも、決して良いものではありません。
理由を説明したり最低限の仕事の中に組み込んだりしても、最初からやりたくないという気持ちで仕事をしているので、良い結果を生み出すことはできません。
反論を認めないことは、彼らにやらなければならないということを示すことはできますが、彼らのモチベーションを上げるまでには至りません。
それでも、「この人には逆らえないな」というイメージを相手に刷り込むことができれば、少なくとも必要のない言い争いが減ることになり、あなたのストレスを軽減することはできるのではないでしょうか。
とにかく、彼らが自分の仕事をせずに人にやらせて知らん顔をしているような姿を見るくらいならば、その人に無理やりにでもやらせる方が幾分気持ちは楽になるでしょう。