よく、会社を転職する一番の理由は人間関係だといいます。
管理職との折り合いが悪かったり、同僚と仲違いしたり、色恋沙汰であったり…。
そういったときに、その人たちとの関係修復の努力をせずに、さっと辞めてしまうと、恐らく次の会社でも同じような問題で頭を悩ますことになります。
会社は仲良しサークルではありません。
仕事をする上では、好きな人とだけ仕事をするわけにはいきません。
自分の嫌いなタイプ・合わないタイプというのは必ずいます。
その中でうまく立ち回って、どんな人であっても一定の関係を築いて仕事をこなしていかなければならないのです。
今、嫌な人がいるから転職したとして、次の会社に嫌な人がいないと言い切れるでしょうか?
もし次の会社にも嫌な人がいたらまた転職をするのでしょうか?
これは何も人間関係に限ったことではありません。
給与が低いという問題も同じです。
待遇が悪いからといって転職しても、給料が上がることはそんなにありません。
そもそも採用の面接のときに、給与は幾らもらえるのか、などと聞いてくる人を会社は快く思いません。
働く側からしたら給与こそがプライオリティなのですが、雇う側からすれば求めている人材は、能力が高いことはもちろん、「給料は幾らでもいいから御社で働きたい」と言ってくれる人です。
これは理想論ですが、もし同じ位の能力の人が入社を希望していたら、給料を気にする人よりも気にしない人を選ぶのは間違いありません。
冗談ではないと思うかもしれません。
残念ながら、中小企業で働くとはそういうことなのです。
中小企業に勤めていた人が転職して大企業に行くことはそんなにあることではありません。
転職した先もやはり中小企業であることが殆どです。
ですから、給与が上がる可能性はあまりないのです。
先ほど述べたように、中小企業に勤めている人が、大企業に移るチャンスはほとんどありません。
余程のポテンシャルを持っていれば別ですが、そういった人は最初から大企業に入ることが多く、中小企業から大企業へ転職というケースは滅多にないことです。
現時点で中小企業にいるということは、中小企業に勤めるのがやっとの実力だった、ということなのです。
また、仮に能力が高い人が中小企業にいたとして、大企業がほしがるかというと、よほどの実績を上げていないと難しいでしょう。
大企業がある程度年齢の高い人を採用することは少なく、大抵は新卒を採用します。
新卒で高学歴で優秀だと判断した人を採用するわけです。
要するに、大企業は、能力はあるけれど頭の固くなった30歳よりも、能力は低くても柔軟性に富み、吸収力があり、高いポテンシャルを秘めている22歳を採用するものなのです。
それでも見事に大企業に転職できたとしましょう。
しかし、そこにも落とし穴があります。
大企業に転職できたからといって喜ぶのはまだ早いのです。
例えば、毎年大量の人が辞めていき、人手不足で毎年大量に中途採用をしている会社があります。
こういう会社の仕事はかなりきついもので、そのために大量に毎年辞めていくのです。
もし人間関係の修復の努力をしなかったり、給与が低いという理由だけで簡単に辞めてしまったのであれば、そのような人がきつい仕事に我慢できるでしょうか。
今勤めている会社に不満があったとしても、給与が低くなり、また一から人間関係を築き、しかも苦手なタイプがいるかもしれない…そういうリスクを冒してまで転職をする方が、本当に自分にとってはいいのか、よく考えてみましょう。
例えば今いる会社で、ダラダラと仕事をしていてもお咎めがあまりないようであれば、いい仕事といえるかもしれません。
残業代がちゃんとつくのであれば、働いた分はもらえるので恵まれた環境にいるといえるかもしれません。
今いる会社で嫌なことがあったとしても、他の会社ではないということではなく、どこの会社も同じようなものだ、ということを覚えておきましょう。