ここからは採用を行うときのポイントを述べていきます。
まず、採用活動を始めるにあたって、最初に準備しておくことは、今回の採用ではどのような人を採用しようと考えているのか、ほしい人物像を具体的なところまで落とし込むことです。
そのときにいいと思った人を採ればよいと考えていたら、あまりいい結果は得られません。
何かを行う時には目的を持っていないと、結果にブレが生じてしまいます。
具体的にほっする人物像を描くという過程を抜かしてしまうと、行き当たりばったりの採用になってしまいます。
良い人が採れるときもあれば使い物にならない人を採用してしまうこともあります。
そして、なぜ良い人を採用できたのか、それとも良い人を採用できなかったのか、という理由もわからずじまいで、「たった30分かそこらの面接では、その人となりを見極めることは難しい。
だから失敗することもある」と言い訳をすることになるのです。
会社にはある程度、同じような傾向の人が集まります。
それは採用している人の好みが反映されるためです。
特に中小企業では、採用担当は多くても3人程度に固定されています(その多くは経営者です)。
だから、おとなしくてまじめな人ばかりが集まったり、野心的な人ばかりが集まったりと、社員の傾向が現れます。
この傾向が社風となるのです。
この傾向は採用担当が作っていると言っても過言ではありません。
いくら有能であったとしても、自分の言うことを聞いてくれそうになければ、かじ取りをすることができなくなってしまうので、採用は見送ります。
要は自分がコントロールできる人、自分の好みに合う人を採用するために、同じような雰囲気をもつ人が集まってくるのです。
ここで問題なのは、好みだけで決めることがあるということです。
学歴や経歴も参考にしていることもありますが、それも好みの一つと考えられます。
採用したい人物像を定めていない場合、まずは学歴や経歴がいかに華々しいか、自社に合致するような経験を積んでいるか、ということを履歴書で判断します。
その次に、話してみて、自分には従順そうかをみます。
簡単な筆記試験の点数を見る場合もありますが、これは多数の応募者をふるいにかけるためにすることです。
このような採用方法は、その人物を見るのではなく、上っ面だけしかみていません。
ですから、応募者にとっては性格を隠すことはたやすいことです。
そして、入社した後に本性を現すため、期待外れの社員を採用してしまう、ということが起こるのです。
このような失敗をしないために、まずはどんな人に入社してほしいのか明確にします。
例えば、以下のような人をほしいと考えたとします。
これらの項目を考えたら、次は、それぞれの項目を見極めるために、どのような質問をするか、どのような試験を実施するかを考えます。
中途採用であれば、前職で成し遂げた仕事は何か?と尋ねれば、責任感の有無や技術・知識力の有無をみることができますし、チームで成し遂げたことを尋ねれば協調性を見ることもできます。
また、ある命題を出して、それに対する解決法を「2つ以上挙げる」というような試験を出して、より多く解決法を示した人は、柔軟性や創造力があると考えられるかもしれません。
目上の人を立てるかどうかについては、実際の場面で想定される事象を問題にして、「あなたならどうしますか?」と出題するのです。
このような試験や面接をすることで、わずかでもその人がどのような考え方や信念をもっているのかを把握します。
そして、その人が求める人物像に合致するのかを判断する材料にします。
このように、判断基準にするためにも、必ず求める人物像を具体的にしておきましょう。
そして、すべての試験や質問は、求める人物像を探すために確実にその人を把握できるような内容に設定しましょう。